3. 具体的施策

 

本章では、前章の「階上地区まちづくり大綱」を踏まえて、具体的にまちづくり施策として進めていくものを記載していく。「観光×環境×健康」推進モデル地区宣言「はしかみセントラルパーク(仮称)」構想 (気仙沼向洋高校跡地利用)「はしかみの職と食」を結びつける六次産業化「住む・育てる・守る」ための地域福祉と基盤整備、の大きく4つに大別し、まちづくり大綱の各分野にまたがる取り組みとして、階上地区が一体となって進めていくことを前提としている。

記載されている内容のなかで、公助を求める箇所については、次年度以降の事業計画として盛り込むよう市に働きかけを行っていく。自助、共助によって対応する箇所については、地域内で対応する幹事団体をそれぞれ設定し、推進していく。検討事項は、引き続き地域内で議論を進め、合意形成を図っていく。

※以下、別紙「階上地区まちづくり計画図」に記載のある施策については、★印を記載する。

 

 

3-1. 「観光×環境×健康」推進モデル地区宣言

「観光×環境×健康」重点推進ゾーン設定 ★

災害危険区域となる波路上地区を、観光、環境、健康を三位一体として、総合的に整備するゾーンと定め、階上地区復興のシンボルとして取り組む。また、気仙沼向洋高校跡地を「はしかみセントラルパーク(仮称)」(3-2で詳解)として、観光、環境、健康ゾーンの拠点とする。

観光は、三陸ジオパークの岩井崎と塩づくり体験を軸に、農漁業体験メニュー、震災語り部等の体験メニューをプログラムして取り組む。環境は、圃場整備事業、漁業集落事業、海岸防潮堤事業と震災復興事業への取り組みを、地域環境との調整を計りながら整備し、住みよい環境整備を目指す。健康は、運動プログラムを提案しながら、地域食材を活用した食育をかねて、スローフード事業と連携して取り組む。具体的な施策については、以下に掲げる。

 

新しい観光戦略

A)       階上観光協会組織運営の安定化を目指す。

1.        組織運営の健全化の為に、会員(企業・団体・個人)を募り会費を確保する。自らがまちの担い手であるという意識を醸成する。

2.        地域内の観光施設管理について、指定管理業務および委託管理業務の受け皿となる。

B)       農業および漁業の体験学習活動、体験観光プログラムの充実を図る。

1.        産業分野と連携して取り組む(例:地引網、ワカメの芯抜き体験(期間限定)、いちご狩りなど)。

2.        六次産業化(⑪で詳解)との連携を図り、より魅力的な受け皿を企画する。

C)       震災語り部の育成。

階上地区の歴史・文化、震災の被害と復興状況、観光と産業、および、震災遺構(⑦で詳解)の説明など、幅広く活動する。

D)       塩づくり体験館の有効利用。 ★

1.        今後は、大量生産化を目指し、販売も視野に入れた多角的な体制を整える。

2.        新たな商品開発を行う(⑪で詳解)とともに、塩田としての歴史、赤穂とのつながりなどの物語を、歴史的資産として伝承する。

3.        震災遺構・新岩井崎プロムナードセンター整備(⑦で詳解)に合わせて、現在地からの移転を検討する。

E)       交流人口の拡大。

1.        四季の彩を配した観光地の再生として、遊休地を利用した植栽を海べの森をつくろう会を中心に各支援団体、学校、企業の協力で行う。

2.        復興支援ボランティアを継続して受け入れるとともに、その繋がりを生かして、末永くリピーターとして訪問してもらう。

F)       第九代横綱・秀ノ山雷五郎に関わる観光施策。

震災にも耐え、ノコッタ第九代横綱・秀ノ山雷五郎像のためにも、相撲巡業の誘致に取組み、併せて、土俵並びに合宿施設等の設置を働きかける。

G)       観光船、釣り船の運航。

震災遺構・新岩井崎プロムナードセンター整備(⑦で詳解)に伴い、岩井崎一円の観光開発を進める上で、海から見る階上、あるいは、海での体験は欠かすことができない。観光遊覧船や釣り船を運航することで、そうした観光客のニーズを取り込むことができる。さらに、大島架橋の架設に伴う海の観光動線の変化を見越して、大島と結ぶ観光遊覧船の運航も検討する。観光船、釣り船ともに、検討を具体的に進める段階で、漁港内の係留箇所などを含めて調整、整備が必要となる。

 

<要望事項>

A)       階上観光協会に対しての助成

震災前は砂浜の清掃活動など観光関連受益者が担っており、監視活動等は市からの助成で実施していた。観光施設の復旧や階上観光協会の組織体制の整備に合わせて、地域観光を支援する助成制度を設置する事を要望する。

 

③お伊勢浜海水浴場の復旧・復興

お伊勢浜海水浴場は、機能回復の要件である海岸防潮堤位置の100mセットバックが認められ、堤体形状は海水浴場部分が階段形式で設計される。201612月現在までに、砂浜再生可能性調査が実施されている。また、海水浴客の利便性、安全確保のため、杉の下コミュニティ広場が設置され、防災広場・駐車場・トイレ・シャワー等が整備されるほか、避難道として「二級市道 牧明戸線」が拡幅改良される。

 

A)       海水浴場再開へ向けた協議を進める。

海岸防潮堤が完成し、また、震災遺構が整備される平成30年度を目標に、階上観光協会が中心となり、海水浴場・キャンプ・サーフィンの場として再開を早期に実現する。

 

<要望事項>

(ア)    海中瓦礫の早期撤去

海岸管理者である国や県の関係機関と調整を図った上で、ボランティアダイバーによる震災行方不明捜索も視野に入れ、海中の整備体制の対応を進めてほしい。

(イ)     防潮堤背後地の利用

お伊勢浜海水浴場の防潮堤背後地を利用したスポーツ・健康増進活動(テニス・野球等)スペースを確保すること、及び、海を眺める事の出来るよう盛り土して多目的スペースを確保すること等、(特に海水浴利用以外の期間において)海水浴場周辺を活性化できるスペースとしての利用可能性について、地域住民との対話を重ねてほしい。

 

階上スローフード運動

A)       階上地区スローフード宣言。

1.        震災前より気仙沼市が推進してきた「スローフード」運動を再開し、食の再生に取り組む。

2.        地域内の民宿、観光食堂、婦人会、「食生活改善講座」のお母さんなどが連携し、地域に残る食文化を伝承するとともに、海の幸と山の幸をふんだんに使った郷土料理を提供する。

3.        六次産業化(⑪で詳解)と連携し、各分野の情報共有を図りながら有効に展開、発信していく。

B)       階上地区の食育プログラムの充実。

階上小学校がスローフード運動に取り組んできた経緯があり、プチシェフコンテストに毎回入選者を出している。食育と合わせてプログラムしていく。

 

⑤臨海エリア、遊歩道整備 ★

<要望事項>

(ア)    遊歩道、サイクルロード、ランニングコースの整備

「はしかみセントラルパーク(仮称)」を中心に、杉の下〜岩井崎〜ふれあい漁港を徒歩で回遊できるコース(初級)、および、気仙沼CC〜菖蒲沢ダム周辺を含むコース(中級〜上級)を、環境省による三陸復興国立公園の「みちのく潮風トレイル」への指定と合わせて整備を検討してほしい。特に、旧気仙沼向洋高校から圃場整備事業用地を通り岩井崎へ至る遊歩道が整備されることで、一つの観光の軸線ができあがる。歩道沿いに花卉を植えることでフラワーロードとして整備すること、東屋を設置することなども含めて検討していただきたい。

同様に、自転車用の路側帯を設け、サイクルロード(杉ノ下から岩井崎の回遊道路含)として整備することも引き続き検討してほしい。自転車による観光動線ができあがることで、例えば、新岩井崎プロムナードセンターにおいて貸自転車業を営み、震災遺構との一体管理の元での収支の安定化を図ることもできる。貸自転車については、地区内の各拠点で返却可能な駐輪場を設けるなど、利便性に配慮したい。

また、遊歩道及び農道等を活用した常時利用可能なランニングコースの設定をお願いしたい。

(イ)     「三陸ジオパーク」認定エリアの環境整備

地盤沈下による浸食被害対策を引き続き要望する。当地域の潜在的な可能性として持つ力を活用した地域づくりとして、質の高い地質資源と、多様な海浜植生を保全する為の対策として、沿岸保全エリアを決め、三陸ジオパークの価値を高めて頂くことを要望する。

 

⑥気仙沼カントリークラブの有効活用と、菖蒲沢ダムエリアの環境整備

A)       菖蒲沢ダムエリアの環境整備。★

リアス地形特有の山と海の関係を知る自然の宝庫として大切に守る。ダムは、大谷、階上の稲作用水利組合が管理しており年2回ほど草刈りをする。上部の用水池には親水公園があり、癒しの場所でもある。今後は、上郷地区(大谷)の方々とも連携し、地域の活かし方(案:イルミネーション等での年末の夕べを彩る、など)について協議していく。

B)       気仙沼カントリークラブの有効活用。★

1.        気仙沼カントリークラブ開放事業について、運営会社と協議検討する。

5月の連休(子どもの日など)ゴルフ場を一般開放して頂き、地域のにぎわいつくりに取り組む。

2.        レストラン「スカイピア」との連携事業を模索する。

観光名所としてスカイピアからの展望や産地の物販などを協議する。

 

 

3-2. 「はしかみセントラルパーク(仮称)」構想 (気仙沼向洋高校跡地利用)

⑦震災遺構・新岩井崎プロムナードセンター(仮称)整備 ★

旧気仙沼向洋高校校舎全体(南北校舎・実習棟・体育館)が気仙沼市の震災遺構として保存が決定された。復興に伴い震災の記憶を刻むものが消えて行く現在、震災を後世に伝え、将来の犠牲を無くすための大きな役割を担う遺構として重要である。また、岩井崎プロムナードセンターを震災遺構に隣接して復旧し、減災・防災教育、震災の伝承を目的とした施設として活用していく案が示されており、両者が一体となって、「はしかみセントラルパーク(仮称)」の中核施設として位置付けられることが期待される。

 

A)       防災・減災教育の拠点とする。

1.        防災分野において、市域内はもとより、外部研究機関との連携も計りながら、セミナーや会議も開催できる、持続的な活動していく施設として活用する。

2.        「災害に強い街」へ向けた取り組み(⑭で詳解)と連携し、各自治会や消防団、階上小学校・中学校の協力を仰ぎながら、地域の実際の防災訓練を実体験してもらうようなプログラムを取り入れる。

3.        国際防災会議が二年に一回仙台での開催が決定されている。世界の防災学者を集めた国際会議を誘致し、気仙沼の震災遺構から、津波災害の恐怖と防災・減災の必要性を世界に向けて発信していただく。

B)       海べの森をつくろう会を中心に、浸水域の境界に花木を植樹することを計画する。

校舎の屋上から見た時に、東日本大震災の浸水域が一目瞭然に分かるように取り組む。潤いのある小路を設ける。

C)       階上地区はもとより、気仙沼観光の拠点とする。

1.        観光案内所(新岩井崎プロムナードセンター内)を設置する。階上地区内の観光コースを回遊するための拠点にするとともに、市内の観光施設や市外の震災遺構とも連携する。

2.        観光ボランティア、地域の語り部を育成、雇用する。

3.        交流の拠点として、「おもてなし」各種体験メニューの開発、発信に取り組む。

D)       健康増進の拠点とする。

遊歩道整備(⑤で詳解)、多目的グラウンド整備(⑧で詳解)とあわせて、健康増進ゾーンの拠点施設に位置づける。

 

<要望事項>

(ア)    鎮魂の森、慰霊の場の整備

今回の震災による犠牲者の御霊に対し、哀悼の思いを伝え、二度と繰り返さないこの悲劇を誓う場所として、鎮魂の森、慰霊の場を設ける事を要望する。階上地区内広域に震災の爪痕は点在しており、震災遺構を拠点とし、遊歩道整備(⑤で詳述)とあわせて、それらを面的につなぎあわせ、階上地区全域が震災遺構として認知されるよう取り組んでいきたい。

(イ)     駐車場用地の確保

旧向洋高校東側(災害危険区域内)の被災宅地買取後の市有地を駐車場として、大型バス20台分、乗用車200台分を確保してほしい。

(ウ)    気仙沼市街地から震災遺構・新岩井崎プロムナードセンターへ至る交通インフラ整備

現在運休している宮城交通バスの岩井崎〜波路上漁港を回る路線の復旧について、市の協力を要請する。また、国道45号を通るBRT気仙沼線のうち1日数便を震災遺構・新岩井崎プロムナードセンターまで引き込むことを検討してもらいたい。

(エ)    遊具や東屋を設ける

旧岩井崎プロムナードセンターに設置されていた遊具の復旧を要望する。休憩所としての東屋の設置もあわせて要望する。

(オ)    受託管理者の早期決定

震災遺構・新岩井崎プロムナードセンター(仮称)を含む、「はしかみセントラルパーク(仮称)」の一体管理が収益安定の観点から望ましい。受託者の認定を平成29年度前期までに確定し、地域および震災遺構に精通し、より充実した企画・運営ができることを望む。

 

⑧多目的グラウンド整備

階上地区内には、子どもの遊び場・運動場、高齢者の健康増進と交流の場、その他市民団体の活動の場としてのグラウンドが不足している。震災遺構、新岩井崎プロムナードセンターと加えて、多目的グラウンドが整備されることで、市民、観光客が集う中心地が生まれることとなる。

 

A)       芝生のグラウンドとして整備、維持管理する。具体的な整備、維持管理方法について、詳細は具体化に向けた段階で協議する。

B)       管理運営に関して、詳細は具体化に向けた段階で協議する。

1.        管理運営者は、震災遺構・新岩井崎プロムナードセンター・グラウンド含む周辺施設との一体管理を基本とする。

2.        管理施設として、災害廃棄物処理事業より寄贈を受けたトレーラーハウス2台(事務所及びシャワールーム)を再利用する。水道電気、トイレの新規設置のためのコストを抑えることが出来る。

C)       大会誘致(スポーツコンベンション事業)を進める。

スポーツ少年団、ジュニア世代の地方大会、交流試合等を積極的に誘致する。

 

<要望事項>

(ア)    旧気仙沼向洋高校グラウンドの多目的グラウンド整備

継続協議を要望する。

 

3-3. 「はしかみの職と食」を結びつける六次産業化

⑨農業再生

被災農地のうち、最知地区4ヶ所、明戸地区、杉の下地区は、圃場整備事業を活用して復旧を進めており、その他の浸水農地は原形復旧を予定している。また、農業生産法人が設立され、他の法人との連携により、安定的かつ持続的な農業生産体制の構築が図られており、農業機械利用組合の農機貸出制度を活用して一部耕作再開している。今後は、圃場整備事業による優良農地の活用に向けて、耕作方法の共同化や六次産業化を促進が期待される。

 

A)       農業再生に向けた地域の取り組み。

1.        補助事業制度を活用した新規就農者(いちご農家)の取り組みを支援する。

2.        地域ブランドの発掘を進める。(例:「はしかみ米」「気仙沼茶豆」等)

3.        耕作放棄地の再生への取り組みを引き続き検討する。

 

⑩漁業再生

漁業集落防災機能強化事業を活用して、各海岸エリアからの避難道路や漁業占有用地を整備し、漁業環境の高機能化が進められている。また、漁港・船揚げ場の復旧事業、防潮堤事業を活用して、安心、安全な作業環境の整備が進んでいる。

水族再生の取り組み状況は、以下の通りである。

ワカメ養殖:国の補助事業により生産環境が回復し、被災前の水揚げ水準まで回復している。今後は、漁港機能の早期回復を望む。

牡蠣養殖:平成263月牡蠣処理施設が完成すると共に、「がんばる養殖」による事業再建が平成282月で終了し、被災前の水揚げ水準まで回復している。

ホタテ養殖:「がんばる養殖」による事業再建が平成281月で終了し、被災前の水揚げ水準まで回復している。今後、「マヒ性貝毒」等の出現による出荷停止を心配しているが、認定工揚等で加工処理が出来る事から、出荷対応が可能である。

ウニの駆除:震災後爆発的に増えた事により、磯焼け現象が所々に見受けられる事から、アワビの害敵であるウニの駆除を重点的に行い、加えて、水産試験場の水槽(蓄養)を活用しながらウニの販売促進に取り組む。尚、売上の一部は、アワビ稚貝購入費の一助に充てたい。

 

A)       宮城県水産試験場の活用。 ★

1.        生産者のシンクタンクとして、漁業環境の調査や技術革新を行い、競争力を強化していく。

2.        体験学習施設として、地域の環境、産業を学ぶ場としても活用する。

3.        アワビの害敵であるウニが爆発的に増えた事により、アワビの数量は震災前の48%までしか回復しておらず、加えて、ここ数年磯焼けが進み、痩せアワビが多く見受けられる。早急にアワビ稚貝放流事業とカジメ・コンブ等の移植事業に取組み、藻場の再生と併せて磯根資源の回復を強く望む。

B)       牡蠣小屋(四季の海鮮屋)(階上JF)事業に取り組む。

1.        「水産振興事業費補助金」の活用を含めて、具体化に向けて検討を行う。

2.        運営主体〔階上JF〕が、地域ブランドとなる「階上の牡蠣・ホタテ・アワビ・ウニ」を提供する。

3.        産地食材のPRや漁協取扱い集荷物(ウニ、ホタテ、海草など)の不定期販売等の事業展開も視野に入れ、地域力を発信していく。

C)       階上荒磯まつりを恒例開催(平成29年度開催予定)とする。

 

⑪「六次産業化」の取り組み

地元の食材を地元で消費する地産地消を進め、併せて、階上を訪れる人に向けて提供する。生産力・品質の向上(一次産業領域)×付加価値の添加(二次産業領域)×販売体制の構築(三次産業領域)の取り組みを掛け合わせ、六次産業化を模索していく。生産者の顔の見える食材を提供し、安心、安全を求める声に対応していくことにも繋がる。

 

A)       郷土料理づくり部会の活動を拡大し、農業、漁業、および、観光のそれぞれの取り組みと連携する。必要に応じて、産業部会の設立も検討する。

B)       産地直売所を開設する。

国道45号線沿いに設置し、以前実績のある茹でトウモロコシ販売の他、気仙沼茶豆や漬物、いちごジャムなどの販売を検討する。

C)       魅力的な地元食材を活用した加工品の開発を進める。

1.        地元食材を活用したスイーツの開発。(気仙沼のスイーツには定評がある)

2.        岩井崎の塩を活用した各種商品開発。茶豆の塩茹で等。

(震災前には、「いさみや(津谷)」で伊勢治郎の塩を使った菓子を販売していた)

3.        話題性のある健康食材、ストーリー性の付加価値をつけた商品(サプリメント等)の開発を行う。

茶豆:一般の豆よりアミノ酸の含有量3倍を有し、肝臓の働きを回復する効果もある。

メカブ:フコイダン・アルギン酸・EPA等を多く含み、抗がん剤としての薬効がある。

ホヤ:生物誕生のルーツでもあり、グリコーゲン・タウリン・鉄分等が豊富で滋養強壮の効果がある。

アワビ:美容と不老不死の食材として秦の始皇帝・楊貴妃・卑弥呼・徐福伝説にもその逸話が残り、アワビの肝は、中国で目の薬・滋養強壮として漢方薬としても珍重されている。

牡蠣:「海のミルク」と云われ、亜鉛・鉄分・ミネラル等を多く含み、武田信玄や頼山陽も愛好した。

D)       階上観光協会岩井崎事務所、新岩井崎プロムナードセンター(仮称)を有効活用する。

物販、観光案内、体験事業の紹介等をメインに地域のお茶飲み場としても活用する。

 

⑫一次産業体験型ボランティア受け入れ

現在、農業・漁業従事者の高齢化が進んでおり、地域の産業構造を維持していくためにも、地域内外の若年層やサラリーマン定年層の就農、就漁を促していく必要がある。都会人の中には、いきなり就農、就漁は無理だが、一度体験してみたい、という層が一定数存在する。そういった層を、体験型ボランティアというかたちで受け入れ、弾力的な経営を行うと同時に、一次産業の魅力を発信していく。

 

A)       一次産業体験型ボランティア受け入れの具体的な取り組み。

1.        農業法人、牡蠣小屋事業〔階上JFが主体〕、及び、階上観光協会が連携して、受け入れ事業を検討する。

2.        地域の高齢者登録制度「まだまだ現役元気な高齢者バンク(仮称)」を試みる。(⑮で詳解)

3.        観光客向けの日帰り体験プログラムをつくる。参加者には成果物を提供する。

4.        中長期的な有償ボランティアを受け入れる。宿泊施設として、災害公営住宅の借り上げを検討する。

B)       気仙沼市内の体験学習企画との連携を検討する。

 

 

3-4. 「住む・育てる・守る」ための地域福祉と基盤整備

⑬基盤整備

長磯浜防災集団移転事業及び災害公営住宅整備事業により、新たな居住域が生まれることへ対応するために、以下の通り、地域内動線の再設計を行う。

下原浜線:220m区間を幅員5m(一部区間は6m)で拡幅整備。

下原1号線:路線延長481mのうち、80m区間を車道幅員7m、片側歩道幅員2.5mに拡幅整備。

船原森2号線(陸前階上駅前交差点〜森漁港):路線延長1,111mのうち、352m区間を車道幅員5m447m区間を車道幅員7m、片側歩道幅員2.5m50m区間を幅員3.5m6.5mで整備。

船原線(合倉〜国道45号):全線幅員5mで拡幅整備。

また、三陸縦貫自動車道インターチェンジの設置(菖蒲沢付近)については、新市立病院への救急搬送や、災害時における階上地区の安全性・即応性の向上のほか、恒常化している交通渋滞の緩和にも資することから、インターチェンジへアクセスする市道等の整備と合わせ、実現可能な北向きのハーフインターチェンジとして整備されることが決定した。

 

A)       地域内動線の再設計と合わせて、商業エリアを再構成する。 ★

1.        気仙沼みなみ商工ネットを中心に、地域内物販の活性化を図る。各商店の駐車場内に産地直売所を併設する等、六次産業化の取り組みとの連携を模索する。

2.        災害公営住宅入居者は高齢者世帯が多いため、その活動範囲を意識した商業エリアを設定する。具体的には、階上公民館における「日曜市(仮称)」、フリーマーケットの開催等を検討する。婦人会、PTA、気仙沼みなみ商工ネット等の諸団体が連携する。

B)       交通事故防止に向けた取り組み。 ★

1.        陸前階上駅前交差点〜合倉までの未整備区間の改良舗装、長磯原内田線(内田〜陸前階上駅~船原森2号線)の拡幅改良はいずれも困難との回答を得た。今後、駅利用者、近隣住民の利用の増加が見込まれるが、事故防止のために地域住民へ特段の注意を促していく。

2.        通称「基幹農道」(市道田中赤貝線~市道岩尻縦貫線)整備の必要性は市も認識しているが、多額の事業費を要することから、全線の整備は難しく、局部改良により安全が図られている。安全運転を心がける等、市全域での取り組みが必要である。

 

<要望事項>

(ア)    BRT気仙沼線「向洋高校前」駅の新設

「クリエみうら」裏に新駅を設置し、平成30年移設再開予定の向洋高校通学者、および、防災集団移転、災害公営住宅入居者の利便性向上を図る。BRTの定時性や速達性への影響が懸念されているが、時間帯限定の停車等の可能性を含めて、改めて強く要望する。また、これに合わせて、現行の陸前階上駅を階上公民館付近に移設することで、さらなる利便性向上を図ることも含めて、引き続き検討を要望したい。

(イ)     交通事故防止に向けた標識の設置

上記の交通事故防止に向けた取り組みと合わせて、特に危険な箇所に標識を設置し、行政と住民が一体となって事故防止に努めていきたい。

(ウ)    商業エリアにおけるにぎわい拠点の創出

(ア)の要望事項と併せて、老朽化した階上公民館をBRT駅と一体となった複合施設として改築し、関連ある⑬Aの商業エリア再構成と連携して、持続可能なにぎわいの拠点を創出することを要望したい。公民館改築には、⑭の要望事項(カ)で示すような、防災・減災機能強化の狙いもある。

 

⑭「災害に強い街」へ向けた取り組み

気仙沼市では、地震・津波の防災大綱を平成263月に取りまとめた。階上地区では、平成26年度に津波避難計画のワークショップが実施され、それを踏まえて、平成27年度に新たな地区津波避難計画、および防災マップが作成された。階上地区ではこうした市の動きと足並みをそろえた上で、より地域に密着した取り組みを推進していく。

海岸域からの避難道整備は、漁業集落防災機能強化事業によって事業化されている。しかし、国道45号をまたぐ箇所、特に、南最知3号線(ダイシンパチンコ〜海蔵寺〜基幹農道)は、更なる拡幅改良整備は難しいとの市の回答があり、カーブ等で車両のすれ違いに支障をきたしている区間は、側溝への蓋掛けなどによる幅員確保が検討されている。また、観光面では、お伊勢浜海水浴場からの津波避難について、漁業集落防災機能強化事業を活用した防災広場整備が採択され、防潮堤事業の進捗とあわせて整備される予定である。

国道45号(向原〜大谷野々下)の嵩上げについては、宮城県が施行する沖ノ田川河川災害復旧事業による沖ノ田橋の架け替えに伴い、沖ノ田橋付近で約8.5m嵩上げし、向原地区及び大谷(野々下)地区の国道現道高にすりつけする予定である。沖ノ田川河川堤防高(TP9.8m)と合わせることで、二線堤となり、急坂の解消による交通事故防止にも繋がる。階上地区、大谷地区間の一体感の醸成にも繋がる。

最知川原地区の災害危険区域内の被災宅地買い上げ後の土地利用については、集約事業により有効利用できるよう、事務手続き等について調整が図られている。調整が整い次第、市としての活用を図るほか、地域や企業の要望などを鑑み、公募等により、譲渡・交換が行われる予定である。

 

A)       気仙沼向洋高校との地域防災に関する連携事業を模索する。 ★

平成30年に長磯二本松地区で再開する向洋高校と連携し、地域の防災力をアップすると共に、高校生の積極参加による防災計画の展開を模索する。

B)       階上地区防災総合計画策定の取り組み。

1.        自治会の自主防災組織としての機能強化。

自治会(班)単位で、防災計画、ハザードマップを作成する。世帯ごとの防災カルテの作成を基本とし、第一避難場所を設定する。第二避難場所は各自治会で協議して設定する。長期的な避難生活を想定して、階上中学校および国道45号より山側の自治会館を第三避難場所と定める。自治会連絡協議会において、各自治会間の災害協定書による連携を促し、第二避難場所および第三避難場所の位置、防災設備(発電機、燃料、湧き水、井戸など)、および、防災備品(大鍋、毛布など)をリストアップし、情報を共有する。

2.        地域内の防災教育活動と連携。

階上中学校における防災教育を継続的にサポートしながら、その成果を地域へ還元し、自治会の取り組む地域防災総合計画と連携していく。(階上中学校は、ユネスコの防災会議にも招待されるなど、その活動を高く評価されている)

3.        車両の待避場所として、民間の駐車場の活用について、地域内での申し合わせを行う。

 

<要望事項>

(ア)    岩井崎に避難タワー建設

岩井崎公園はジオパーク認定を受けており、震災後、「龍の松」や津波に耐えた「秀ノ山像」が観光集客を支えている。旧気仙沼向洋高校校舎は避難ビルとしての要件を満たさないため、当該地域からの逃げ遅れが発生した場合に備えて、避難タワー設置は観光客誘致の必須条件である。なお、観光区域内への設置となる事から、外観、形状等の配慮も併せて要望する。地域への進出企業との震災ビル市認可も併用して考える。

(イ)     国道45号、森前〜最知〜川原間の冠水防止対策

当該路線は、大雨時などに冠水し、通行等に支障をきたしているほか、東日本大震災に伴う地盤沈下により排水不良となっているため、早期の対策が必要である。

(ウ)    停電に備えた太陽光発電式の街灯を設置

市からは「事業費が多額であることに加え、街路防犯灯と同様、維持修繕費は地元負担となるため、地元との協議が必要」との回答を得たが、設置数、設置箇所を含めて、具体的な検討を要望したい。

(エ)    備蓄倉庫の整備

避難場所として、防災集団移転地区内に整備された集会施設(長磯浜地区に1箇所)に備蓄倉庫を備えることを要望する。

(オ)    通学路兼避難道の整備

移転新設される気仙沼向洋高校、および、階上中学校、階上小学校周辺道路について、通学路兼避難道としての整備を要望する。特に、国道45号から山側については拡幅整備が行われない道路も多いため、有事の際にスムーズな避難ができるよう、必要十分な歩道幅を確保してほしい。

(カ)     階上公民館の防災・減災機能強化

階上公民館が地域の避難所に指定されているが、老朽化によりその機能を十分に果たすことができるか懸念されるため、防災・減災機能強化を目的とした改築をお願いしたい。公民館改築には、⑬の要望事項(ウ)で示すような、にぎわい拠点の創出の目的もある。

 

⑮「多世代共生の街」へ向けた取り組み

A)       自治会、PTAを中心とした見守りや協業体制を構築し、子ども、親(保護者)、お年寄りの多世代交流を促す。

1.        農業支援、漁業支援、交通安全支援等、各団体と連携しながら取り組む。

2.        階上地区社会福祉協議会、PTA等の諸団体が連携して情報共有を図り、企画に取り組む。「日曜市(仮称)」(⑬で詳解)等を交流の場として活用する。

3.        「明戸虎舞」等、地域の伝統文化を保存していく仕組みを併せて検討する。他地区の伝統文化との交流事業も模索する。

4.        自治会とPTAの繋がりを強化する一助として、親世代の農業・漁業の季節労働への参加を促すことも検討する。(以前から、階上小学校では田植え、稲刈り体験を行ってきたが、参加できる父兄は限られており、その解決策が求められる)

B)       「まだまだ現役元気な高齢者バンク(仮称)」を設立する。

元気なお年寄りの経験・知恵を活かし、産地直売への積極的な取り組みを期待する。高齢者の収入=孫へのお小遣いとなり、子どもとお年寄りの世代間交流へ繋がる。

C)       階上地区催事カレンダーの発行。

D)       コミュニティでの物づくり活動を推奨し、高齢化し孤立する地域の暮らし課題を物づくり交流の場の提供から課題解決を促す。場所は、国道45号沿い(旧国道維持出張所)を検討する。

E)       健康・子育て・スポーツ部会を設置し、幼児から高齢者、子育て世代の健全な交流とスポーツを通した健康づくりを推進する。地域の活気あるまちづくりとして、基礎となる住民が、多様な世代で共生できる「環境づくり提案」を行いながら、笑顔の絶えないまちづくりを目指す。

1.        高齢化及び、住民の孤立化からくる健康諸問題について、交流環境整備及び健康増進・防災体験用具等の提案を行い、地域コミュニティの形成の為の環境づくりを目指す。

2.        次世代育成支援対策として、地域の子どもが健やかに、のびのび育つまちづくりを基本理念に様々な遊具、子育て環境の整備提案を行い、子育て世代に優しい地域環境づくりを目指す。

3.        健全な心身育成及び、地域交流を目的とした各種スポーツの普及推進を行いながら多様な世代が心身のリフレッシュと世代間交流を図れる環境整備提案を行う。

 

⑯「地域一貫教育の街」へ向けた取り組み

A)       教育関係機関の連携とバックアップ体制の充実を図る。

波路上保育所、階上保育所、階上小、階上中が半径約1㎞圏内にあり、小学校、中学校、高校のPTA活動や防災訓練をはじめとする地域行事に連携して対応する。

B)       子どもの安全対策を強化する。

青少年育成協議会、PTA、自治会で「通学路の整備」「防犯灯の設置」「不審者対策」などに取り組む。特に国道45号より山側の道路整備は、長期的視野をもって市と連携して進めていく。

C)       PTA、自治会での企画連携を図り、地域内の安全対策や、地区行事(運動会等)の活性化を図る。

D)       子育ての段階から地域の魅力に触れさせ、地域の文化・産業・自然を知る機会を提供し、地域への愛着を育む社会教育を行う。